「アップロードしない」PDFツールの仕組みと、通信していないことの確かめ方

「PDFを結合したいけれど、ファイルをネット上のサービスに送るのは気になる」――そんなときに知っておきたいのが、オンラインツールには大きく分けて2つの仕組みがある、ということです。この記事では、その違いと、ファイルが本当に送信されていないかを自分で確かめる方法を紹介します。

オンラインツールの2つの仕組み

1. サーバーで処理するタイプ

多くのオンラインPDFツールは、次のような流れで動いています。

  1. 選んだファイルを、運営会社のサーバーに送信(アップロード)する
  2. サーバーの上で、結合や圧縮などの処理を行う
  3. できあがったファイルを、ユーザーがダウンロードする

この方式は、端末の性能に関係なく重い処理ができるという利点があります。PDFをWordに変換したり、文字認識(OCR)をしたりといった高度な機能は、多くがこの方式です。

一方で、ファイルが一度は外部のサーバーに渡ることになります。処理後に一定時間で削除すると説明しているサービスが多いものの、会社の規程で「社外のサービスにファイルをアップロードしてはいけない」と決められている場合は使えません。

2. ブラウザの中で処理するタイプ

もう一つは、ファイルを処理するためのプログラムをブラウザに読み込み、ユーザーの端末の中だけで処理する方式です。てのひらPDFはこの方式を採用しています。

  1. ページを開いたときに、PDFや画像を処理するプログラムだけを読み込む
  2. 選んだファイルは、ブラウザの中で読み込んで処理する
  3. できあがったファイルも、ブラウザの中で作ってそのまま保存する

ファイルの中身はインターネットに送られません。そのぶん、通信量も少なくて済みます。

ファイルが送信されていないことを確かめる方法

「送信しない」と書いてあっても、本当かどうかは気になるものです。パソコンのブラウザ(Chrome・Edge・Firefoxなど)に付いている「開発者ツール」を使うと、そのページがどこと通信しているかを自分の目で確かめられます。

手順(Chrome・Edgeの場合)

  1. ツールのページを開いた状態で、キーボードの F12 を押します(Macは Command+Option+I)。画面の横か下に開発者ツールが表示されます。
  2. 開発者ツールの上部にある「ネットワーク(Network)」タブを選びます。
  3. この状態で、ツールにファイルを読み込ませて処理します。
  4. ネットワークタブに表示される通信の一覧を確認します。

もしファイルがアップロードされていれば、処理のタイミングで、ファイルと同じくらいの大きさのデータを送る通信(多くは「POST」という種類)が表示されます。ブラウザの中で処理するツールでは、そのような通信は表示されません。

てのひらPDFでも、ページの表示に必要なプログラムや文字データの読み込み、広告やアクセス解析のための通信が一覧に表示されることがあります。これらは送られてくる(または閲覧の記録を送る)通信で、選んだファイルの中身は含まれていません。また、ダウンロードのときに表示される「blob:」で始まる項目は、ブラウザの中で作ったデータを指すもので、外部との通信ではありません。

てのひらPDFの場合:ツールは広告から切り離した「枠」で動く

てのひらPDFでは、ファイルを扱うツールの部分を、広告やアクセス解析のあるページとは別のアドレスから読み込んだ「枠」(iframe)の中で動かしています。ブラウザには「アドレスが違うページ同士は、お互いの中身を見られない」という決まり(同一オリジンポリシー)があるため、外側のページで動く広告のプログラムなどが、枠の中で選んだファイルに触れることはできません。

さらに、枠のページには「自サイト以外への通信を禁止する」という設定(コンテンツセキュリティポリシー)を入れています。万が一、枠の中で外部に何かを送ろうとするプログラムが動いたとしても、ブラウザがその通信を止めます。開発者ツールの「コンソール」を見ると、禁止された通信があった場合はその記録も表示されます。

もっと手軽な確かめ方

ツールのページを開いたあとで、パソコンのWi-Fiを切る(スマホなら機内モードにする)方法もあります。ブラウザの中で処理するツールなら、ネットワークがつながっていない状態でもそのまま処理できます。

ただし、PDFによっては、文字を表示するためのデータを処理の途中で追加で読み込むことがあり、その場合はサムネイルの表示などに失敗することがあります。これは表示用のデータを受け取る通信で、ファイルを送る通信ではありません。

ブラウザで処理する方式の弱点

良いことばかりではありません。ブラウザで処理する方式には、次のような弱点もあります。

  • 端末の性能に左右される:数百MBのPDFや何千ページもある文書は、スマホではメモリが足りずに処理できないことがあります。
  • できない処理がある:PDFをWordに変換する、文字認識(OCR)をするなどの高度な処理は、ブラウザだけで行うのが難しい分野です。
  • 処理中にページを閉じると最初からやり直し:処理の途中経過はどこにも保存されません。
  • 端末そのものの状態には左右される:ファイルは端末の中で扱うため、端末がウイルスに感染していたり、ページの内容を読み取れるブラウザの拡張機能が入っていたりすると、その影響は受けます。ブラウザの中で処理する方式は、ファイルを外部のサーバーに送らないという仕組みであり、あらゆる危険を防ぐものではありません。

扱う書類の重要度や、必要な機能に合わせて使い分けるのがおすすめです。

まとめ

  • オンラインツールには「サーバーで処理する」ものと「ブラウザの中で処理する」ものがある
  • ブラウザの中で処理するツールなら、ファイルの中身は外部に送信されない
  • 開発者ツールの「ネットワーク」タブで、実際の通信を確かめられる

ブラウザの中だけで処理するツール

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